手が読み取れるものがある
同じ大きさのものを2つ手に取ってみてください。ひとつは成形されたプラスチック、もうひとつは彫られた木です。プラスチックは均一です。どこも同じ重さ、同じ温度、どこまでも同じなめらかな表面。木はそうではありません。木目があり、小さな不揃いがあり、ひんやりとした重みは、持っているうちにあたたまっていきます。
手と口を通して世界を理解する小さな子どもにとって、その違いは情報です。感覚遊びは流行り言葉ではありません。感覚に、伝える価値のあるものを与える遊びのことにすぎないのです。
おもちゃがしないぶん、子どもがする
話し、光り、音楽が鳴るおもちゃは、遊びの内容をすでに決めてしまっています。子どもの役割は、ボタンを押して眺めることだけです。
木製ツリーは何もしません。そこが大切なのです。その日の午後、子どもが必要とするものに何にでもなります。森にも、マストにも、灯台にも、小さな誰かが暮らす場所にも。教育者はこれをオープンエンドな遊び(決まった遊び方のない自由な遊び)と呼びます。にぎやかなおもちゃが2週間で忘れられるのに、同じ素朴なものが何年も心をとらえ続けるのは、このためです。
壊れるのではなく、年を重ねる
プラスチックの行く末は2つにひとつです。完璧なままか、折れるか。木とウールはそのどちらでもありません。色が深まり、やわらかくなり、小さな跡を刻んでいきます。5年間遊ばれてきたツリーには、その年月が姿にあらわれます。そして子どもは、そのものに歴史があると目で見てわかるとき、ものの扱い方が変わります。
良い木のおもちゃと、形だけのものの見分け方
- 重さ。無垢の木にはずっしりとした手応えがあります。とても軽いものは、たいてい薄い合板か中空の殻です。
- 仕上げ。厚いラッカーではなく、オイルや蜜ろうで仕上げたものを選びましょう。ラッカーは欠けますが、オイルはなじんでいきます。
- 木目。セットのどれもがまったく同じに見えるなら、それは木から切り出したのではなく、板から機械で削り出したものです。
- シンプルさ。おもちゃが決めることが少ないほど、子どもの想像の中で長く生き続けます。
ウールについてひとこと
ウールはあたたかく、ほどよい弾力があり、静かです。音を吸収し、カタカタと鳴りません。また染料をとても美しく抱えるので、フェルトの風景には手のひらほどの広さに10もの緑の色合いを宿すことができます。
正直にお伝えしたい注意点
自然素材だからといって、自動的にいちばん小さな子どもに適しているわけではありません。手づくりの品には小さな部品や装飾的な部品が含まれていることが多く、3歳ごろ以上のお子さまが大人の見守りのもとで遊ぶためのもの、あるいは棚に飾って楽しむ美しいものとしてつくられています。年齢に適しているかどうかは、素材ではなくつくりによって決まります。
